【教員紹介】後藤真先生(文化遺産学科)

文化遺産学科には、考古学・民俗学・美術史・博物館学・地域文化論・情報歴史学という6つの専門領域があります。今回はその中の「情報歴史学」を担当される後藤真先生にお話を聞きました。

Q. まず最初に、先生の研究分野を教えて下さい。

後藤:私の主な専門は、日本史の史料のデジタル・アーカイブと、それを通じた歴史そのものの研究と、日本史の史料の特質の解明です。デジタル・アーカイブというのは、歴史上の様々な史料や文化遺産をデジタル化し、研究や保存に役立てたりする取り組みのことです。

Q. 「史料」って、具体的にどんなものなんですか?

後藤:特に今までやってきたことは、正倉院文書(しょうそういんもんじょ)のデジタル・アーカイブです。正倉院文書というのは、日本古代の人が書いた文書(もんじょ)で、奈良の東大寺に伝わってきたものです。日本古代史を研究するのに欠かせないたいへん重要な史料です。古代の人たちの戸籍、税金を集めるための帳簿、それから東大寺にはお経を写す専門の役場があったんですけども、その役場に関係する文書が集められています。

Q. へー、貴重な史料を扱ってるんですね。でもなぜコンピュータを使うんですか?

後藤:正倉院文書というのは奈良時代から約1300年の時間をわたってきた文書なんですけども、江戸時代の終わりから明治時代にかけて、奈良時代の状態からバラバラにされてしまったんですね。それで、かなりバラバラな状態で現在に伝わっているんですけど、古代の貴重な史料なので実際にその文書を触って奈良時代の状態を復元するというのはできないんです。そのために、コンピュータ上でヴァーチャルに奈良時代の状態に「復原」を目指してます。それによって新しくわかることがあるんじゃないかと考えて、デジタル・アーカイブによる研究をすすめています。

正倉院文書のデジタル・アーカイブの画面

Q. 文化遺産学科の中には「情報歴史学」というコースがありますが、先生はどんな科目を担当されるんですか?

後藤:主に日本の歴史に関わるような様々な史料をデジタル・アーカイブ化して、コンピュータを使って計測したり、今は遺跡としてしか見ることができない場所が、当時はどんな様子だったんだろうと考えるために、コンピュータ・グラフィックスなど、様々な方法で表現したりしたいと思っています。

また、破壊したり実際に触れたりすることができないような遺跡や遺物を写真測量などの技術を使って計測して、様々な統計処理をしたりしながら分析をしたりすることもやっています。学生のみなさんといっしょになって、今までわからなかったようなこと、できなかったことができるようになる喜びを体験してもらいたいと 思っています。

Q. 花園大学ならではの授業ってありますか?

後藤:花園大学には博物館もあってそこに史料がいっぱいあります。文化遺産学科はそこと密接に連携していますので、情報歴史学は考古学や民俗学などとは別の角度から、様々な遺物を情報的に研究すると。

また、京都の様々な場所に出て行って、実際にデジカメなんかで写真を撮って、通常は測れないようなものや見えないものも、画像処理によってうまく計測したり、またそこから三次元に復元するとか、そういうことをやっていこうと思っています。

Q. なるほど、なんだかとてもおもしろそうですね。では最後に、受験生にメッセージをお願いします。

後藤:文化遺産学科は、恐らくこれまであった歴史学や考古学ではできなかったようなことができるところだと思います。つまり、まったく新しい手法と、伝統的な従来の手法とをミックスさせることによって、今までとまったく違うような文化遺産の見方ができるようになるのではないかと考えています。

なので、伝統的な従来の手法も知りたいし、そういう新しいこともやってみたい、というある種「欲張り」だけど、視野を広く持ちたいという人に向いていると思っています。コンピュータの使用と、伝統的な学問と同時に両方をやってみたいという人には、ぜひ来てもらいたいですね。

Q. ありがとうございました。



後藤真先生プロフィール

1976年生まれ。

正倉院文書データベース(SOMODA)仮想博物館「富松城歴史博物館」等の構築に従事。古代史料と近代史料のデジタル・アーカイブ化と、文化財の問題に関心をもつ。

主な論文:「正倉院文書研究資料のXML/XSLTによる記述と統合」、「正倉院文書の情報化と復原」、「京都府行政資料のデジタル・アーカイブ化とその課題―EAD/XMLの適用の可能性と歴史学―」など。

情報処理学会・平成15年度山下記念研究賞受賞。

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